ハラスメント問題は企業や組織における重要課題です

「ハラスメント」という概念の浸透や、SNSなどの普及に伴い、職場のハラスメント問題はこれまで以上に容易に表面化する時代となりました。同時に、ハラスメント問題の発生により企業が受ける損失も大きくなり、ハラスメント発生リスクに対して、すべての企業が対策を打つべき時代になってきています。ハラスメント問題は、企業や組織における事業の維持向上にも関わる重要な課題として認知されつつあります。

企業の危機管理の一環として、ハラスメント防止施策の実施を任されているご担当者様は、近年ハラスメントに関係するさまざまな法令の規定や改正といった法整備が進んでいることも知っておく必要があります。1997年に成立した改正男女雇用機会均等法で 、セクハラに関する規定が初めて法律に盛り込まれてから、ハラスメントに対する法整備は年々強化される傾向にあり、今後もこの傾向は続いていくと考えられます。

弊社(株式会社エデュテイメントプラネット)も「ハラスメント防止研修HOP」という企業・組織向けeラーニング研修を提供していますが、顧客企業様や弊社サービスについての新規お問い合わせの内容をみても、ハラスメント問題についての認知の高まりや法整備に呼応して、積極的かつ具体的なハラスメント防止に向けた取り組み意識が高まっていると感じます。こうした現状から、法令改正事項を押さえておくことはもちろんですが、「ハラスメント防止施策」の効果を高めることを望むならば、「法令に対応するため」の対策は最低限ととらえ、積極的なハラスメントの予防を含めた、働きやすい職場づくりの実現が求められます。

人事担当者が知っておきたいハラスメントについての基本理解

ハラスメントといえば、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)、パワー・ハラスメント(パワハラ)の2つががこれまでのハラスメントの中心的な問題として取り扱われてきました。

図:セクハラとは・パワハラとは

これらに加え、昨今では後述するような法改正によってマタニティー・ハラスメント(マタハラ)やLGBTに代表される性的マイノリティ への配慮について、その理解や防止に努めることも重要になりつつあります。

その具体的事例として今回本記事が取りあげる「ハラスメントに関する2017年重要法改正」があります。2017年1月の男女雇用機会均等法改正では、下記の2つの事項が改正されました。これらは人事担当者や、ハラスメント防止施策の実施担当者がぜひ知っておきたい法改正です。

妊娠・ 出産・育児休業等を理由とした嫌がらせを指す、マタニティー・ハラスメント(マタハラ)について明記するだけでなく、防止についての取り組みを義務づけるいわゆる「マタハラ防止措置」の規定が盛り込まれました。

セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)の解釈について、すでに規定されていた「セクハラ指針(事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)」に、LGBTに代表される性的マイノリティも対象と明示されました。これらは人事担当者や、ハラスメント問題担当者がぜひ知っておきたい法改正です。

ズバリ「人事担当者が抑えるべき「ハラスメントに関する2017年重要法改正」のポイント

前述した、2017年1月の男女雇用機会均等法改正によって規定された「マタハラ防止措置」の義務化、またいわゆる「セクハラ指針」に明示された性的の取扱いについて、もう少し詳しくみていきましょう。

男女雇用機会均等法改正(2017年1月1日から)

  • マタハラ防止措置 これまでも事業主には「妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とした不利益な取扱いの禁止」が定められていましたが、これに加えて、事業主にはマタハラ防止措置を講じることが義務づけられます。
    防止措置事項としては、事業主のマタハラ防止に対する「方針」の明確化および周知、啓発が求められています

    たとえば、どのようなことがマタニティ-・ハラスメント(マタハラ)になるのか(図参照)を従業員に理解してもらうことや、マタハラの原因や背景となる要因を解消するための措置を講じること、妊娠・出産・育児休業に関する制度の周知なども求められるようになりました。マタハラ防止に対する理解促進や意識啓発には、ハラスメント防止対策の方針を定め、社内全体への周知・啓発の取り組みを継続的に実施していく必要があります。周知・啓発の一般的かつ効果的な手法として、「社内研修」があげられます。弊社は企業・組織向けの「eラーニング研修」の企画・開発からサポートまでをトータルにお手伝いしており、「ハラスメントが起こりうる背景を解消する職場づくり(=だれもが働きやすい職場づくり)」を意識した、eラーニング「マタニティハラスメント防止研修」もリリースしています。
  • セクハラ指針にLGBTをはじめとする性的マイノリティも対象とすることを明記男女雇用機会均等法に基づいて従来から規定されている「セクハラ指針」も改訂されました。改訂において、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)は、「性的指向や性自認にかかわらない」ことが明示されています。
  • ハラスメント問題は、法律の一歩先行く対応を

    ハラスメント問題について、人事担当者やハラスメント防止施策の実施担当者の皆様は「対策すべき」事柄としての重要性をすでに認識されていることと思います。また、ハラスメントに対する法令は強化されつつあり、企業として「法令に対応しなければならない」という危機感もお持ちかもしれません。

    弊社(株式会社エデュテイメントプラネット)はeラーニングでの実施を強みとする全社員研修サービス企業であり、「ハラスメント研修HOP」や「マタニティハラスメント防止研修」、「人権・ダイバーシティ研修」など、ハラスメント問題や人権にかかわる職場の意識啓発をテーマとする研修サービスを多くリリースしています。

    多くの企業さまのハラスメント教育をサポートしてきた実績から、ご担当者の皆様には、法令への「対応」、問題についての「対策」といった対処療法的な取り組みではなく、職場環境の積極的な改善の取り組みが、従業員満足の向上のみならず、事業成果の維持向上にも大きく貢献することを念頭に、「法令の一歩先を行く」という意識で各種取り組みを展開することの重要性をお伝えしています。なぜなら、ハラスメント予防施策を「ハラスメント対策」という狭義に捉えるのではなく、「働きやすい職場づくり」という広義で捉えることで、結果として施策の効果が高まることが多いためです。

    一方で、具体的な取り組み実施の段階では、優先順位をつけて段階的に施策を実施することが一般的です。

    段階的に施策を進める場合の一例として、ハラスメント防止対策を導入するための事前準備として、これまで行ってきたハラスメント問題に関する自社施策がある場合は、施策全体の社内・組織内への効果検証を行ったり、社内・組織内でのハラスメントに関するアンケート調査を行うなど、ハラスメントに関する自社の現状を確認、把握することからはじめることをお勧めしています。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

    企業・組織におけるハラスメント防止施策についてさらに詳しく知りたい方は、弊社が制作した資料「社内の『ハラスメント防止施策』を成功させるためのポイント集」も合わせてご参照ください。
    ハラスメント防止施策の「全体像」や、現状把握のヒント、従業員教育をする際の各種手段のご紹介など、施策成功のポイントをわかりやすくまとめております。


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