コンテンツ:eラーニング「Q&Aで学ぶ働きやすい職場づくり」
インタビュー
管理本部 健康管理室 社員相談窓口 川島千恵美様 高島由美子様
【パワハラ・セクハラに関するeラーニング導入の経緯】
■川島 様
弊社では、これまで社内のHPを利用して社員へのパワハラ・セクハラに対する啓発活動を行うほか、定期的にアンケート調査を行い、その結果を社員にフィードバックすることでハラスメントへの注意を促してきました。経営職、および派遣スタッフに対しても、各種セミナーや研修を実施するなどの対策を行なってきました。
教材の監修者であるクオレ・シー・キューブとは、2006年11月~12月に管理職240名へのパワハラ・セクハラ研修を依頼した経緯があります。そこで、全社員対象のeラーニングを実施するにあたり、まず教材を探す段階でクオレ・シー・キューブのHPにアクセスしました。そして、実際に教材を見せてもらい、一問一答形式ならば取り組みやすいと思い、導入を進めました。
弊社では、eラーニングの実施・管理の基盤システムとして、社内で独自開発したシステムがありますので、このシステムを利用して研修を実施できることも導入のポイントになりました。
【eラーニング研修ではじめて受講率100%を達成】
■川島 様
受講対象者は、管理職・一般社員、および派遣社員の約1200名です。
eラーニングの利点は、各自が自席で空いた時間を利用して受講できる点だと思います。そこで、時間は15分に設定。短い時間のなかで、パワハラとセクハラの両方を網羅的に学習できるようなeラーニングを実施しました。実施期間中は、事業部ごとの受講率を公表するなどして、受講してもらうための周知徹底に努めました。
結果、開始から2週間で対象者の90%以上が受講。3週間で100%受講を達成できました。
【従業員の多くがハラスメント防止対策に興味を持っていたことを改めて認識】
■川島 様
期待していたよりも良い反応だった、というのが担当者としての正直な感想です。当初は受講率90%以上を目指していましたが、終わってみれば3週間という短い期間で社員全員が受講しました。
■高島 様
これまでもアンケートなどを実施する際には部ごとの実施率を公表するなどして告知と啓発活動に努めてきましたが、100%には至りませんでした。
今回の結果は各自の意識として、また身近な話題として、ハラスメント防止対策に興味を持っている社員が多かったからだろう、と考えています。多くの社員が日ごろからハラスメントは避けるべき問題、防止すべき問題と捉えており、eラーニングに対しても興味を持ってくれたのだと思います。
【受講者との対話を促し、新しい気づきを得られた教材】
■高島 様
「パワハラを受けないために、どのような断り方をするか?」という設問に「嫌です」という選択肢があり、正解ではありませんでした。そこで、なぜ「不正解」なのか? という質問を、数人の社員から受けました。
実は我々相談窓口でも、従来その答えは正しい断り方としてきました。「はっきりNOといわなければ相手はわからない」との認識を持っていたからです。現場の意識も同様だったため「なぜ解答として不適切なのか?」と疑問を抱いた社員がいたようです。
質問を受け、相談窓口でも改めて検討した結果、「最初から”NO”と言って対立するのではなく、まずきちんと自分の気持ちを伝える。それでもダメな場合に”NO”を使うのが適切である」との気づきが得られました。
■川島 様
弊社はストレートに意見を言い合うことが多い社風なので、一般に適切とされる回答を示されたことが、改めて学べる良い機会になったのだと思います。
【特に好評だった3つのポイント】
■川島 様
まず、1つめのポイントは、自席で手軽に短い時間で出来たことです。受講率を高めた一番のポイントにもなったと思います。
2つめのポイントは、わかっているつもりになっているパワハラやセクハラの定義や内容などを、「知識として体系的に学べた」ことが良かったとの声も多く、短時間で理解を深める効果が得られたと思います。
3つめは、単にeラーニングだけを実施するよりもアンケートと併行したことで、従業員の意見を吸い上げることができました。
今回は、eラーニングと併行してアンケート調査(主に、相談窓口の周知がどの程度はかられているかを調査するためのもの)も行いました。アンケートはeラーニング修了後であれば後で時間をずらして回答することもできるようにしました。実際に問題を解いた感想や質問を書き込んだり、eラーニングとは別に日ごろ感じている意見を書き込んだりできる、と好評でした。
【今後の展開・取り組みについて】
■川島 様
現在、グループ会社内にもeラーニングを展開するため準備を進めています。
そのほか、以前から行っていた経営層向けのセミナー、派遣スタッフに対するハラスメント防止の説明会なども、一層の充実と継続実施を目指しています。
■高島 様
eラーニングは便利なツールですし、今回受講した社員から今後も定期的に実施して欲しいという要望が数多く寄せられていますので、継続的に実施を検討していきたいと思います。課題は内容のグレードアップです。今回より難しい問題にすればよいというわけではなく、かといって同じ内容では受講者の興味を引き出せない。
たとえば、オリジナル化して弊社にあった内容を多く盛り込んでいくのも一つの方法だと思います。受講者からも、事例を元に研修を行って欲しい、との意見が寄せられています。もちろん、情報開示できる範囲が非常に限られますので、実際に起こった事例というわけにはいきませんが、社員にとって身近で起こり得る事だと感じられる内容を盛り込めれば、より効果があげられるのではないでしょうか。
弊社にぴったりとマッチする内容のeラーニングを作成する難しさはありますが、今後の課題として取り組んでいきたいと考えています。
HOP監修 株式会社クオレ・シー・キューブ 岡田康子より
■岡田康子
定期アンケート、経営職・管理職への研修に続き、今回管理職・派遣社員を含む全従業員がセクハラ、パワハラについて共通の基礎理解・認識を得られたことは、非常に意義のあることだと思います。ハラスメントを「しない」ための教育はもちろんのこと、「受けない」ための教育も織り交ぜることで、職場全体でハラスメントを防止する雰囲気づくりができるからです。
また、時間・コストを抑えて全従業員へ効率的に教育を行うことのできるeラーニングに、アンケートを組み合わせて行ったことで、従業員の方々にとっても日ごろ抱えている思いを伝える良い場となり、研修に対する納得感も増したのではないでしょうか。
電通国際情報サービス様 は、従業員の皆様もハラスメント防止について関心をお持ちで継続的なハラスメント防止研修を望む声が上がってきました。今後、グループ会社への展開、継続的な取り組みをぜひ期待しています。