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(1)2020年法改正情報まとめ

2020年注目の法改正

人事・研修関連の担当者の皆さまが特に注目したい2020年に行われる法改正を紹介します。

所管官庁別に、各法2020年改正部分について【施行日】と「★改正のポイント」をまとめました。

各省庁の参考URLも掲載いたしますので、ぜひチェックしてください。なお、いわゆるパワハラ防止法である「改正労働施策総合推進法」(2020年6月までに施行予定)についてはすでにこちらの記事で取り上げていますので、こちらもぜひご覧ください。企業・組織におけるハラスメント防止施策についてさらに詳しく知りたい方は、当社が制作した資料「社内の『ハラスメント防止施策』を成功させるためのポイント集」(こちらからダウンロードできます)も合わせてご参照ください。
ハラスメント防止施策の「全体像」や、現状把握のヒント、従業員教育をする際の各種手段のご紹介など、施策成功のポイントをわかりやすくまとめております。

本記事の内容は、都度更新してまいります。
更新情報や関連ニュースをメールでお届けいたしますので、ぜひご購読ください。
(最終更新日:2019年12月24日)

<法改正情報 目次>

厚生労働省所管(働き方改革関連法)

経済産業省所管

法務省所管

国税庁所管

厚生労働省所管(働き方改革関連法)

【2020年4月1日に施行される内容】
2019年4月から働き方改革関連法が順次、施行されています。2020年4月1日からは、「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」に関連する改正法、いわゆる「同一労働同一賃金」関連法が施行されます(ただし、中小企業への適用は2021年4月1日です。)。

改正の要点は、「同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくす」ことにあります。これは単純に全員を同じように扱えばいいということではなく、個々の労働者の業務内容や責任、能力等に応じた待遇を、雇用形態に関係なく行わなければならないということです。

より詳細で客観的な業務定義や評価制度が必要になってきます。改正法施行に向け、社内制度等を万全に整えておきましょう。

★改正のポイント

1.パートタイム・有期雇用労働法、労働契約法

(1)不合理な待遇差をなくすための規定の整備

  • パートタイム労働者・有期雇用労働者の「均衡待遇規定」「均等待遇規定」をパート・有期で統一的に整備(派遣労働者については下記2をご参照)
  • 「均衡待遇規定」はそれぞれの待遇(基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練など)ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨の明確化
  • 「均等待遇規定」はパートに加え有期雇用労働者も対象に

(2)均衡・均等待遇規定のガイドライン(指針)の策定

  • 待遇ごとに判断することを明確化し、ガイドラインの策定によって規定の解釈、根拠を明確に提示

[改正前→改正後]

〇:規定あり △:配慮規定 ×:規定なし ◎:明確化

パート 有期 派遣
均衡待遇規定 〇→◎ 〇→◎ △→〇+労使協定
均等待遇規定 〇→〇 ×→〇 ×→〇+労使協定
ガイドライン ×→〇 ×→〇 ×→〇

(3)労働者に対する事業主の説明義務の強化

  • 有期雇用労働者に対する雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設など)及び待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務を創設
  • パートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等の説明義務を創設
  • 説明を求めた労働者の不利益取扱い禁止規定を創設

(4)行政による事業主への助言・指導等の規定整備

  • 行政による助言・指導等や行政ADRの規定をパート・有期・派遣で統一的に整備
  • 「均衡待遇」「待遇差の内容・理由に関する説明」も、行政ADRの対象に

※行政ADRとは、事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことです。

2.労働者派遣法

(1)派遣労働者と派遣先労働者の待遇差の解消

  • 「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の選択制とし、いずれかの待遇確保を義務化
  • 派遣先になろうとする事業主には、派遣先労働者の待遇に関する派遣元への情報提供義務
  • 派遣先事業主には、派遣元事業主が上記待遇確保方式を遵守できるよう派遣料金の額の配慮義務

◆この法律や法律の改正で、確認・検討すべきこと

経済産業省(特許庁)所管

【2020年4月1日に施行される内容】
特許等の権利によって紛争が起きても、大切な技術等を守れるよう、特許法の一部が改正されます。

また、デジタル技術を活用したデザインの保護や、ブランド構築等のため、意匠法の一部が改正されます。

★改正のポイント

1.特許法

(1)中立な技術専門家が現地調査を行う制度(査証)の創設

  • 特許権侵害の可能性がある場合に、中立な技術専門家が被疑侵害者の工場等に立ち入り、侵害立証に必要な調査を行って裁判所に報告書を提出する制度を創設する

(2)損害賠償額算定方法の見直し

  • 侵害者が得た利益のうち、特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして、損害賠償を請求できることとする
  • ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨を明記する

※(2)については、実用新案法、意匠法、商標法も同旨の改正が実施されます。

2.意匠法

(1)保護対象の拡充

  • 物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインを新たに意匠法の保護対象とする

(2)関連意匠制度の見直し

  • 関連意匠の出願可能期間を本意匠の出願日から10年以内までに延長する
  • 関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認める

(3)意匠権の存続期間の変更

  • 出願日から25年に変更する

(4)意匠登録出願手続の簡素化

  • 複数の意匠の一括出願を認める
  • 物品の名称を柔軟に記載できることとするため、物品の区分を廃止する

(5)間接侵害規定の拡充

  • 主観的要素を規定することにより、取り締まりを回避する目的で侵害品を構成部分に分割して製造・輸入等する行為を取り締まれるようにする

(6)その他

  • 公益団体等(自治体・大学等)が自身を表示する著名な商標権のライセンスを認める等の措置を講ずる

※参考
特許法等の一部を改正する法律(経済産業省(特許庁))

法務省所管

【2020年4月1日に施行される内容】
2017年5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2020年4月1日から施行されます。

民法のうち契約等に関する最も基本的なルールが定められている部分は「債権法」などと呼ばれます。この債権法は1896年に制定されてから約120年間にわたり実質的な見直しがほとんど行われていませんでした。

そこで、①約120年間の社会経済の変化に対応するため実質的にルールを変更する改正と、②裁判や取引の実務で通用している基本的なルールを法律の条文上も明確にし、わかりやすくする改正が行われます。

今回の民法改正では、合計200項目程度の改正が行われています。主だったものについて下記に記載しましたが、詳しい資料は法務省ホームページをご覧ください。

★改正のポイント

1.民法(債権法)

(1)保証人の保護に関する改正

  • 極度額を定めていない個人の根保証(包括根保証)契約は無効とする
  • 事業用の融資について、経営者以外の保証人については、公証人による意思確認手続を必要とする

(2)約款(定型約款)を用いた取引に関する改正

  • 定型約款を契約内容とする旨の表示があれば、個別の条項に合意したものと見なすが、信義則(民法1条2項)に反して顧客の利益を一方的に害する条項は無効とする
  • 定型約款の一方的な変更は、①変更が顧客の一般の利益に適合する場合、又は、②変更が契約の目的に反せず、かつ変更の必要性・相当性、変更することがある旨の規定の有無等の諸事情に照らして合理的な場合に限って認められる

(3)法定利率に関する改正

  • 法定利率を現行の年5%から年3%に引き下げる
  • 市中の金利動向に合わせて法定利率が3年ごとに変動する制度を導入
  • 商事法定利率(年6%)の廃止

(4)消滅時効に関する改正

  • 業種ごとに異なる短期の時効を廃止し、原則として、「権利を行使することができる時から10年」という時効期間に加えて、新たに「権利を行使することができることを知った時から5年」という時効期間を追加
  • この消滅時効に関する改正に関連して、未払い残業代などの賃金請求権の時効を2年から5年へ延長する労働基準法の改正が検討されている

(5)意思能力に関するルール

  • 意思能力(判断能力)を有しないでした法律行為は無効であることを明記する

(6)賃貸借に関するルール

  • 賃貸借終了時の敷金返還や原状回復に関する基本的なルールを明記する

※参考
民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省)

国税庁所管

【2020年1月1日以降の源泉所得税に関する改正内容】

2018年3月31日付で所得税法等の一部を改正する等の法律が公布され、源泉所得税関係についての改正が2020年より適用されます。

源泉所得税に関する改正内容のうち、企業での年末調整に影響する4点を下記に抜粋しました。

今回の改正にともない、2020年度以降の年末調整について、申告書の大幅な変更が予定されています。

制度の変更と申告書の変更に伴い、従業員への説明や源泉徴収事務の負荷増が予想されますので、早めに準備しておきましょう。

★改正のポイント

1.所得税法

(1)給与所得控除の見直し

  • 給与所得控除額が一律10万円引き下げ
  • 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850万円、その上限額を195万円へそれぞれ引き下げ

(2)基礎控除額等の見直し

  • 基礎控除額が10万円引き上げ
  • 合計所得金額が2,400万円を超える居住者については、その合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2,500万円を超える居住者については基礎控除の適用除外

(3)所得金額調整控除の創設

  • ①本人が特別障害者である、②23歳未満の扶養親族がいる、③特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる、いずれかの従業員について適用
  • 給与等の収入金額が850万円を超える場合、給与等の収入金額(1,000万円を超える場合には1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除

※年末調整でこの適用を受ける場合、別途「所得税額調整控除申告書」の提出が必要になります。

(4)所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し

  • 同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件が48万円以下に引き上げ
  • 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件が95万円以下に引き上げ
  • 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件が48万円超133万円以下とされ、その算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分がそれぞれ10万円引き上げ
  • 勤労学生の合計所得金額要件が75万円以下に引き上げ
  • 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が55万円に引き下げ

※参考
税制改正等の内容(国税庁)

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(2)2019年イベントカレンダー

2019年の実績をベースに、2020年に開催が予想される人事・研修担当者が注目したいイベントをまとめました。

※今回掲載したものであっても2020年は実施されない場合もありますので、詳細は定期的に所管となる官公庁サイトの「年間行事予定」で確認してください。(掲出するリンクは2019年の実施記事です)

2月

3月

4月

5月

6月

7月

9月

10月

11月

12月

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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