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確定拠出年金の継続教育におけるライフプランを作成する重要性

継続教育においてなぜライフプランが必要か?

前回のコラムでは、自社事情に合った加入者の主体性を促す継続投資教育を実現するためには、なぜ投資について学ばねばならないかを、加入者自身に十分納得してもらう必要があり、そのためには人生を豊かにするイメージを各自のライフプランとして思い描いてもらうことが有効であることを述べた。

ライフプランの中では、特に「老後の生活設計」がポイントであり、老後資産形成を考えるとき、「資金計画(ファイナシャルプラン)」が必要となる。そしてその資金計画においては、ただやみくもに資産運用をすればいいわけではなく、取らなくてもいい高いリスクを避け、不必要な目標金額を設定しないよう、効率的かつ適切な運用計画を立てることが大事だ。以下ではライフプランと資金計画(ファイナシャルプラン)のポイントについて述べてみよう。

ライフプランの重要性

以前の日本では、高い経済成長のもと、終身雇用が原則とされ、年齢が上がるにつれ賃金が増え、一定の退職金を受け取り、定年退職後は年金を受け取りながら悠々自適の生活を送る、といった人生計画を描くことができた。これは会社や国の制度が生活を支えてくれていたからである。

しかし、社会・経済情勢の変化や個人の価値観の多様化により、近年では自己責任において、一人ひとりが自立したライフプランを作成する重要性が高まっている。

もちろん、人生は決して計画どおりに進まないが、「ライフプランを作成することで、目的や方向性が明確になり、より主体的な人生を送ることができる」、ということは何度も強調しておきたいメリットである。

ライフプランは人生の羅針盤・地図

価値観の多様化により、人生におけるイベントは人それぞれである。働き方、結婚、出産・育児・教育、マイホームの購入…一つとして同じものはないが、老後を楽しみ、死を迎えるという点では多くの人が共通している。もちろん、計画どおりに進まないことも多いだろうが、最初の計画を固持するケースはむしろ稀で、その都度修正していくのが一般的といえるだろう。そういう意味では、何度でも計画を検討できる環境も必要であるといえる。

いずれにせよ、限られた収入の中で夢を実現するために必要なことは、ライフプランを作って必要な費用を把握することと、家計の収支を把握して資金計画(ファイナシャルプラン)を立てて十分な資産を確保することをめざすこと、それらを都度修正していくことだ。

長い人生を充実したものにすることをゴールとした場合、まさにライフプランはその羅針盤・地図といえる。

さらに、ライフプランを立てる時、「お金」の他に2つの重要なポイントがある。それは「健康」と「生きがい」だ。「健康」でなければ夢を実現することは難しく、「いきがい」がなければ充実した日々、とはいえないだろうからである。「お金」「健康」「生きがい」は互いに関連しているので、この3つのバランスをとるべきことに留意しよう。

資金計画(ファイナシャルプラン)

たとえば、マイホームを持ちたいとか、老後は毎年、旅行に出かけたいと思っても、資金がなければ実現できない。ファイナンシャル・プランとは、自分自身のライフプランを実現するために必要な資金の計画のことだ。

ライフプランの実現に必要な資金は、計画的に用意することを心掛けたい。若いうちは給与から毎月一定額を貯蓄や投資などにあてる、資産運用にあたっては、教育資金やマイホームの取得資金などのように、使う時期が決まっていて、運用できる期間が比較的短い資金と、老後資金のように長期に運用できる資金の運用は分けて考えることが大切である。使う時期が決まっている資金は、原則として、安全性の高い商品で運用するのがよい。一方、長期に運用できる資金は、その一部をリスクがあっても大きな収益が期待できる、すなわち株式や投資信託などの金融商品で運用することが効果的となる。

このような一部の人には基本的な考え方も、実際には知られていないことも多い。まだ若年層なのに、とにかく普通預金や定期預金を利用して貯蓄していると、資産づくりのチャンスを逃してしまうかもしれない。一方、退職間際になっても、必要資産をリスクの高い金融商品のまま持っていては、計画どおりの老後を送れないかもしれない。単に、いつ、どれくらいの資金が必要、ということだけでなく、その資金をどのようにつくるかが資金計画には重要である。

キャッシュフロー表

次に重要なのがライフイベントと年間の収支を時系列で一覧表にしたものがキャッシュフロー表だ。キャッシュフロー表を作成することによって、大きな資金が必要な時期や、老後資金が十分であるのかなど、将来の収支を予測することができる。キャッシュフロー表をふまえて、どのようにして必要な資金を用意するか、年間収支の改善方法はどうするか、などについて検討しなければならない。そのポイントと具体例は以下の通りである。

ポイント1:家計の合理化を行う

  • 生命保険等の保険を見直す
  • 住宅ローン等のローンを見直す

ポイント2:支出を減らす

  • 購入予定の住宅の価格を引き下げる
  • 車の購入間隔を長くする
  • 子どもの進路を見直す。教育資金に奨学金を利用する

ポイント3:収入を増やす

  • 妻が専業主婦の場合、パート等で家計収入を増やす
  • 退職時期を遅らせたり、定年後、再就職したりする
  • 資産運用を行う

さらに、資産運用計画を適切なものとするため、下記のような条件の設定・認識が必要だ。

  1. 自分にとってのゴールの設定(運用期間の認識)
  2. 自分にとっての目標金額の設定(必要な資金ニーズの認識)
  3. 収入を増やす自分の年齢や投資スタンスの認識(リスク許容度の明確化)
  4. 収入を増やす追加拠出可能額の把握(定期拠出額の設定)

「初期元本」「追加拠出額」「運用利回り」「運用期間」の4要素を確定すると「最終受取額」が導かれる。ライフプランを整理することで、これらの要素を明確にすることが可能になる。そして「最終受取額」が設定されることで、他の要素を再検討しながら計画を具体化できるようになるわけである(例えば、老後資産5,000万円を目標に設定すれば、利回りをどの程度とするか、毎月の積立をどの程度とするかのシミュレーションができる)。

以上の学習は、概算でも構わないので、加入者の実際の計画を反映したものでなければ、理解しづらいものである。また、その内容は非常に個人的なものであるため、できれば集合形式よりも、個人で何度でも取り組める環境が望ましい。
シミュレーション機能を用いて、個人的に何度でも取り組めるという面では、やはり通年で利用可能なeラーニングの導入が加入者の利便向上に役立つと考えている。

有限会社あおむしマネジメント(AMC) 代表取締役  佐々木敦也
「必ずよくわかる新しい年金制度401k(総合法令出版)」他 著書多数
確定拠出年金eラーニング監修

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