実施対象: 全階層約6,900名(派遣社員も含む)
コンテンツ:eラーニング「Q&Aで学ぶ働きやすい職場づくり」 ※お客様社内LMS利用

インタビュー

人事部労政グループ 吉田美加様 増田幸枝様

全階層向けハラスメント研修eラーニング導入の経緯

■吉田 様
弊社は2005年9月に、第一製薬(株)と三共(株)が経営統合して誕生しました。それまでの旧会社はそれぞれの永年の歴史と企業文化を持ち、従業員は誇りを持って仕事をしてきました。そんな中、統合によってそれぞれ異なる企業文化を持った従業員が共に働くことになり、現場では様々な戸惑いもありました。

例えば、どこの統合会社でも起こる話ですが、率直に部下指導しているつもりが「こんなことは旧会社では言われなかったのに…、これってパワハラなんじゃないか?」と落ち込む部下がいたり、一方そんな部下を目の当たりにして、今度は上司側が「パワハラだと勘違いされては困るので、部下指導できない」と困惑したり…。もともとの企業が持ち合わせていた業務の仕方の違いで、職場の中がざわついていたのです。

これでは働きやすい職場づくりは実現できないと感じ、弊社では、2007年度をハラスメント「認知期」と定め、セクハラ・パワハラといったハラスメントに関する新会社としての考え方の整理、相談体制や人事制度の整備を図り、さらにハラスメント防止ガイドを作成して全社員に配布しました。さらに事業場毎にハラスメントの相談窓口担当者を定め、相談対応マニュアルを配付しました。ビデオを活用して相談窓口担当者には対応研修も行いました。

2008年度は「撲滅期①」と定め、各事業場を回ってマネジメント職に対してハラスメント研修をしました。また、相談窓口担当者に対するロールプレイ研修も実施しました。
2009年度に入り、「撲滅期②」として全階層に向けたハラスメント研修を検討していたところ、相談窓口担当者研修を委託していたクオレ・シー・キューブ社から、監修を務めたeラーニングがあると紹介を受け、検討を始めました。

導入の決め手は全社員教育にふさわしい「わかりやすさ」と「親しみやすさ」

■吉田 様
導入にあたっては他のeラーニング教材も取り寄せ、比較検討しました。その結果、こちらの教材はクオレ・シー・キューブ社の研修内容と連動していて違和感がないこと、内容も系統立ってわかりやすくまとまっていて、「思い込みチェック」などのクイズ形式やアニメーションの利用、イラストの入った解説など親しみやすい体裁になっており、全従業員が基礎知識を習得するのに適していると考え、導入を決めました。
「パワハラ編」では、一般社員向けとマネジメント職向けで内容が異なり、マネジメント職には部下指導とパワハラの違いについても学習してもらえる点もよかったです。

教材カスタマイズを加えて、セクハラ編とパワハラ編の2回で研修を実施

■増田 様
今回、eラーニングを通じて、全社・全階層に、ハラスメントについて共通の基礎知識を持ってもらうことを目指して研修を実施しました。受講対象者は、役員を含む幹部社員約1,900名、派遣社員を含む一般社員約5,000名です。
全社員にくまなく受講してもらうために工夫した点は2つあります。

1つは、分割による学習時間の短縮です。これまで社内で展開してきたeラーニングは1時間近く受講時間を要すものも多く、社員には不評でした。そこで、1回当たりの研修時間を約20分と設定し、まず「セクハラ編」(2009年11月~2010年2月)、次に「パワハラ編」(2010年4月~6月)と2回に分割して研修を実施しました。

もう1つは、教材のカスタマイズです。研修中の動作で迷って時間をロスしないよう、各ユニットの最終画面にカスタマイズ修正を加え、操作の指示を具体的に行いました。

■吉田 様
今回自社で持っているeラーニングシステムを利用して実施したのですが、こちらの教材はファイルサイズが軽く、動画コンテンツは搭載不可となっていた弊社のシステム上でも問題なく稼動できました。

さらに、サーバへの負担を軽減するため、部署ごとに実施期間をずらして設定するなどの工夫もしました。こうした取り組みにより、今後の社内eラーニングの動画コンテンツ利用に向けて前例を作れたことも大変よかったです。

「思い込みチェック」でわかったつもりになっていた自分に気づく

■増田 様
「このケースはセクハラに当たると思いますか?」など、自分で答えて、一問ずつ正解・不正解と解説で学習する形式だったので、わかりやすく、勉強になったと好評でした。
また、受講してみて自分の認識の甘さに気付けた、といったコメントもあり、社員への正しい知識の浸透に役立ったと感じています。

■吉田 様
さらには、eラーニングの実施結果をもとに誤回答率を分析し、上位にランクされた項目を社員にフィードバックしたり、相談窓口担当者向け研修時の事例として利用するなど、より有効に意識付けを図る方法について現在検討しているところです。

今後の展開・取り組みについて 〜継続的な全社員啓発と女性活躍推進〜

■吉田 様
ハラスメントに関しては、今後も社会や弊社の現状に合わせて継続的に啓発を実施していきたいと考えています。
その他、最近では全社の女性活躍推進も人事部の重点テーマのひとつです。MR(医薬情報担当者:製薬会社の営業職の呼称)を含め全ての女性社員がキャリアを確立し、安心して継続的に働ける職場を作る上で、その取り組みのひとつの切り口としても、やはりハラスメント教育は欠かせないと考えています。