フリーランス新法~業務委託でより求められるコンプライアンス
法整備が進む業務委託
取引において立場が弱いことが多い下請事業者やフリーランスの個人事業者を守るため、近年、重要な法改正や新法成立が続いています。
昨年11月に施行された「フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」もそのひとつです。施行から約8カ月が経過しましたが、企業の対応が十分でないケースも見受けられます。今回は、フリーランス新法の要点を確認し、当社の関連する研修もご案内します。
フリーランス新法とは
フリーランス新法は、フリーランスが安心して働ける環境を整備することを目的とした法律です。
発注事業者には、フリーランスへの業務委託をした場合に直ちに書面等にて取引条件を明示することなどが義務づけられているほか、下請法にはないフリーランス新法固有の規制項目があります。
フリーランス新法で適用される義務と禁止行為
- 書面等による取引条件の明示義務
- 報酬支払期日の設定・期日内の支払義務
- 禁止行為(受領拒否、報酬の減額など、7つの行為)
- 募集情報の的確表示義務
- 育児介護等と業務の両立に対する配慮義務
- ハラスメント対策に係る体制整備義務
- 中途解除等の事前予告・理由開示義務
※①~⑦は、発注事業者が満たす要件により、適用の有無が異なります。
※④~⑦は下請法にはない、フリーランス新法固有の規制です。
違反時の罰則と企業への影響
フリーランス新法に違反した場合、公正取引委員会などの行政機関は助言や指導、勧告、命令などをすることができ、命令違反に対しては50万円以下の罰金が科されるおそれもあります。
フリーランス新法は下請法同様に「意図せぬ違反」が起こり得ます。「適用基準を勘違いしていた」「契約書の記載が不十分だった」といった場合でも違反とみなされるため、慎重な対応が必要です。
違反を回避するためのチェックポイント
フリーランス新法への対応として、まず実施すべきは業務委託契約書の見直しです。
契約書には以下の9項目を明示する必要があります:
①給付の内容(委託する業務の内容)
②報酬の額
③支払期日
④業務委託事業者・フリーランスの名称
⑤業務委託をした日
⑥給付を受領する期日/役務の提供を受ける期日
⑦給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所
⑧(検査をする場合)検査完了期日
⑨(現金以外の方法で報酬を支払う場合)報酬の支払方法に関して必要な事項
報酬支払期日は給付受領日から60日以内のできるだけ早い日に設定し、これを守る必要があります。また、6ヶ月以上の継続契約では契約解除日の30日前までの予告が義務付けられています。
さらに、従業員を雇用している企業がフリーランスに業務委託をする場合は、ハラスメント相談窓口の設置や育児・介護との両立配慮などの就業環境の整備も義務付けられています。
コンプライアンス体制を強化するために
業務委託において、企業のコンプライアンスはますます求められています。違反によるレピュテーションリスクを避けるには、業務委託に関わる社内体制の整備に合わせて、社内教育で全体の知識を標準化することが効果的です。
当社のeラーニング「コンプライアンスシリーズ」では、「契約の基礎」「下請法」「消費者・社会のために守るべき法律」をご用意しています。2025年9月リリース予定の「下請法」改訂版ではフリーランス新法の項目も追加。同法について丁寧な解説と実践的なクイズで効果的に学習できます。


さらにご希望にあわせたカスタマイズを行うことも可能です。貴社のコンプライアンス強化をサポートいたします。ぜひサンプルをご覧ください。