新年度に向けて考えたい「チームのフォロワーシップ」
3月から4月にかけては、多くの企業で人事異動や新入社員の受け入れが行われる組織再編の時期です。皆様の職場でも新たなチーム編成が始まっているのではないでしょうか。
本コラムでは、組織力を高めるうえで注目しておきたい「フォロワーシップ」の概要、さらに関連する当社のeラーニング研修についてご紹介します。
フォロワーシップとは:組織成功の隠れた鍵
フォロワーシップとは主体的に上司・チームを支え、組織目標の達成に貢献する行動様式です。単に上司の指示に従うだけでなく、建設的に考え、必要に応じて異論を唱えることも含みます。
この理論(※)を提唱したのは、アメリカ・カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授です。彼は企業組織の上司(リーダー)と部下(フォロワー)の関係性について大規模調査を行い、「フォロワーは(チームの成功の)残り80パーセントの鍵を握っている」という結果を導き出しました。つまり、組織の成功はリーダーだけでなく、むしろフォロワーの質に大きく依存するというものです。
1990年代に発表されたこの理論は、リーダーシップ偏重だった当時のビジネス常識に一石を投じ、現在その重要性が再認識されています。
(※)参考:The Power of Followership(日本語版は 『指導力革命:リーダーシップからフォロワーシップへ』 ロバート・ケリー著 牧野昇監訳 プレジデント社 1993年)、本コラム内の一部用語の日本語訳は編集部によるものです。
フォロワーシップの5つのタイプ
フォロワーシップ理論では、「提案志向」と「積極的参加」の2つの軸を使って、フォロワーシップのタイプを分類しています。
両軸の度合いが高い「模範的フォロワー」は、主体的に動くことができる部下です。組織の競争力を高めるには、一人ひとりが自分の長所を伸ばしながら「模範タイプ」の行動を目指すことが重要です。そのためには、フォロワーシップを発揮しやすい職場環境の整備が不可欠です。
フォロワーシップの5つのタイプ

フォロワーシップがもたらす3つのメリット
フォロワーシップが浸透したチームでは、上司・チーム全体に大きなメリットがもたらされます。
1. チームの生産性向上
メンバーが自律的に動くことで業務の進行がスムーズになります。問題の早期発見や解決策の自発的な提案が活発に行われ、チーム全体の生産性が向上します。その結果、リーダーのマイクロマネジメントの必要性が減り、より戦略的な業務に集中できるようになります。
2. チームのレジリエンス強化
フォロワーシップを発揮する環境では、メンバー同士の協力が活発になります。自分の意見を安心して表現できる「心理的安全性」が確保された組織文化が醸成されることで、予期せぬ変化や危機に対しても柔軟に対応できるレジリエンスの高いチームが形成されます。
3. 意思決定の質の向上
フォロワーシップを持つメンバーは、リーダーに対して建設的な意見やフィードバックを積極的に行います。これにより、組織の意思決定がリーダーの独断ではなく、多角的な視点を取り入れたものになり、より質の高い決定が可能になります。
フォロワーシップを導入するために
フォロワーシップの概念をまずはチームで共有したい…そんなときにお勧めしたいのが、当社の「フォロワーシップ研修」です。
手軽なセルフチェックテストで自分の傾向を把握したうえで、フォロワーシップの重要性とその基本知識を学ぶ構成となっています。


研修の後半では「報・連・相」を上司へのフォロワーシップのひとつとして位置づけ、業務を完遂するための過不足なく適切なコミュニケーションとは何か、クイズを通して学びます。

貴社の組織状況に合わせたカスタマイズをすることも可能です。ぜひサンプルをご覧ください。