マーケティングにおける知的財産権の留意点
マーケティング活動と「権利侵害リスク」
企業のマーケティング活動には、広告バナーやSNS投稿記事、動画、パンフレットなど、さまざまな制作物を通した顧客とのコミュニケーションも含まれます。こうした制作物には、著作権・商標権・肖像権など複数の知的財産権が関わっているケースもあり、適切な取り扱いが欠かせません。
近年は、素材サイトの活用に加え、生成AIの利用が進んだことで、意図せず他者の権利を侵害してしまうケースも増えています。限られた制作スケジュールのなかでも、リスクを未然に防ぐための知識と確認の仕組みづくりが求められます。
制作現場で起こりやすい知的財産権トラブルと対策
留意すべき点を具体的にみてみましょう。
1. フリー素材の利用条件に注意
「商用利用可」と記載されたフリー素材でも、クレジット表記や再配布制限など、条件が細かく設定されていることがあります。使用前にライセンス条項を必ず確認しましょう。
商用利用と再配布の違い
商用利用
法人などが営利目的で自社ウェブサイトや商品パッケージなどにイラストを使うこと。社内資料への使用も商用利用となります。
再配布
法人などが営利目的でイラストそのものを商品として販売すること。イラスト集として販売する、そのイラストのTシャツを作成して販売するなどが考えられます。
2. キャラクターやロゴデザインと、商標権・著作権
有名キャラクターや他社ブランドのロゴに似た表現は、著作権や商標権の侵害に該当する可能性があります。社外に公表するものであれば特に留意が必要なため、制作初期から法務・広報部門と情報共有を行いましょう。
3. ウェブサイト・SNS掲載時の肖像権チェック
ウェブサイトやSNSへの掲載においては、肖像権の侵害に該当する可能性があるため、写真や動画に映っている人物本人の同意取得が原則です。トラブルを避けるため、この同意取得(掲載許可)は書面などの記録で残すことができる運用にしておきましょう。
4. 生成AI活用時の注意点
既存の著作物の再現を狙ったプロンプトは避けましょう。生成AIによる出力には、他者の著作物と類似することによる著作権侵害のリスクやハルシネーションの問題もあります。生成結果を必ず確認し、社外公開前にはチーム内レビューや法務担当に相談する工程を用意しましょう。制作依頼先にも社内ポリシーを共有しておくと安心です。
制作担当者が身につけたい知的財産権のリテラシー
知的財産権の理解を深めることは、企業の信頼を守ると同時に、社員一人ひとりが安心して創造的に働くための基盤にもなります。
当社では、こうしたニーズに応えるeラーニング教材「知的財産権の基礎知識」「IT時代の著作権」をご用意しています。
「知的財産権の基礎知識」
「IT時代の著作権」
貴社のご希望にあわせたカスタマイズも可能です。お気軽にお問合せください。


