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鹿島建設株式会社様

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鹿島建設株式会社様

各現場に分散して働く社員に共通認識が行き届くように導入しました

コンテンツ:eラーニング「Q&Aで学ぶ働きやすい職場づくり」

ハラスメント対策 事例紹介セミナーより

日時:2011年7月22日(金)14:00~16:00
場所:新宿センタービル会議室(辻・本郷税理士法人内)

◆ゲストスピーカー
鹿島建設株式会社 総務・人事本部
人事部担当部長(ダイバーシティ推進担当) 土山 淳子 様,人事二課長 笠  裕治 様
◆コメンテーター
クオレ・シー・キューブ 代表  岡田 康子 氏

現場・支店が全国に点在する職場環境

■笠 様
当社には3万人超の従業員がおりますが、現状では9割以上が国内勤務者です。そのうち本社部門が約3割、全国の支店・現場に約7割が在籍しています。男女比では男性が8割以上と圧倒的に多くを占めています。

現場ごとに作るものも環境も異なるため、製造業における工場のようなオートメーション化はできず、人手に依存せざるをえません。その上天候などの想定外のアクシデントも発生する中、納期を守るために長時間労働になりやすい傾向があると考えています。

また、建設現場ごとのプロジェクト型で仕事を進めるため、当社では現場ごとに独立採算制をとり、支店・現場ごとに利益管理をしています。支店や現場の長の権限が大きく、人事施策を含めた諸施策は支店・現場主導で進められることも多く、そのため、どうしても支店・現場ごとにカラーが出てきます。

建設現場毎に数名から数十名の社員からなる工事事務所が編成され、一つの仕事が終るとチームが解散し、また違うプロジェクトへ移ることになります。その結果、ある程度は閉じられた人間関係の中、権限の強い所長中心の組織ができあがりやすい面があります。こういった現場が、会社全体では約2,000箇所ほどありますが、小回りが利く一方、全体最適よりも部分最適を優先してしまう面があることも否定できません。

ハラスメントの観点で当社の職場環境を整理すると、

  • 建設現場ごとのプロジェクト・独立採算制=少人数・期間限定で異動が多い、職場の雰囲気は上司次第であるが、数年の我慢というところがある
  • 長時間労働=ストレス高い
  • 現場を回すため、協調を重視する風土。上下関係、年功序列等については保守的な傾向
  • 建設業界の中では、誠実・まじめ・温厚など穏やかな社風があると言われている

というところかと思います。

メンタル疾患対策からハラスメント対策へと広げてきた

■土山 様
鹿島建設様1992年、全社のメンタル疾患の増加傾向を受け、社員及び社員の家族を対象にした社外相談窓口をスタートしました。当時、本社人事部がクオレ社に研修を委託しておりまして、その担当者からの紹介で健康管理センターの嘱託医も交えて検討の結果、クオレ社に窓口を依頼しました。

別に定められていた服務規律を就業規則に統合したのが1995年で、その後1999年に改正雇用機会均等法が施行され、セクハラ防止が法制化されました。その際、就業規則の服務規律条文にもセクハラ禁止の条項を追記すると同時に、様々な施策を実施しました。

既存の社外相談窓口に、セクハラ窓口の役割も追加契約すると同時に、本社及び支店に相談窓口を作りました。さらに、本社のみならず全国の支店にも男女の相談窓口担当者を任命し、相談員研修も実施しました。

2002年にパワハラ禁止の条項を就業規則に追記し、社外相談窓口の受付内容を更に広げるなど、当初メンタル中心からスタートした施策を、セクハラ・パワハラにも広げながら取り組みを続けてきました。

複数の相談窓口から自由に選べる受付体制

■土山 様
当社には、複数の相談窓口があり、相談者が相談先を選ぶことができます。

一つめは各支店にある相談窓口です。支店は、人事処分・異動の権限の一部を持っているため、事案の多くは現場主導でスピーディに対応できる体制になっています。

二つめは、われわれ本社人事部です。社員からの相談に対応する一方、支店で対応に苦慮している事案の支援も行っています。

三つめは社外相談窓口としてクオレ社と契約しており、会社に直接言いづらい相談を担当してもらっています。この三つは適宜情報共有・連携をしながら、従業員とその家族、場合によっては仕事の関係先の方々の相談を受け付けています。また、クオレ社からは原則として匿名で報告を受けています。

本社・支店単位それぞれでの教育と周知

■土山 様
本社主導の教育としては、人権研修の中でセクハラ・パワハラ禁止についても周知しているほか、年2回ある中間管理職研修でも、私自身が社内講師となり、両ハラスメント防止の研修を行っています。さらに、今年からは評価者研修の中でもハラスメント防止について取りあげるようになりました。

また、新入社員向けの研修で、ダイバーシティの推進について教えていますが、その中でセクハラについても触れるようにしています。これは、学生時代の乗りや、ごく一部の職場の常識を前提にしたコミュニケーションを身につけてしまい、ハラスメントに至ることもあると考えているためです。

その他、不定期ではありますが支店主導で、管理職向け・女性社員向けなどの教育を実施しています。

社内のイントラネットでは就業規則、相談窓口の連絡先と利用法、相談者保護のルールなどの周知や、セクハラ・パワハラ防止のためのガイドブックの掲載を通じ、防止のための情報提供を行っています。

相談窓口に寄せられる最近のハラスメント問題傾向

■土山 様
相談件数は減少傾向ながら、ハラスメントの相談件数の比率は増えており、年間でも数件程度とはいえ微増しています。

また、各支店で完結した相談事案については報告義務を課していないため、逐次把握はしておりませんが、クオレ社への相談概要や相談傾向については毎年1回衛生委員会で報告を受けております。

内容面では、昔はタクシーの中で身体を触られた、チークダンスを強要されたなど物理的なハラスメントの相談がありましたが、最近では、別の悩みを抱えていた人が、ハラスメントをきっかけにうつ状態になってしまったなど、精神的な悩みが増えてきたように感じています。恋愛がこじれたのではないかと思うような、本当にハラスメントが原因なのか判然としない相談が多く、対応が難しくなってきていると思います。

課題と今後の対応

■土山 様
まず、支店・地域間の教育頻度・内容の違いが挙げられます。支店の人事担当者の意識レベルや地方ごとの女性の社会進出の度合いなどにより、必ずしも同じように教育が実施されている訳ではありません。熱心なところは半年1回ペースで施策を行っていますが、本社からの支援が必要な支店もあると考えています。同様に、相談員の育成も支店・地域によってばらつきがあると考えています。

また、各現場に社員が分散しているため、研修が行き届かないという課題があります。そのため、全社員が共通認識を持てる教育を、と考え、来年度は全社員向けのeラーニングを予定しております。

その他、社員に限らず派遣社員に対する教育の徹底も次なる課題と捉えています。

当社のハラスメント対策はまだまだ十分ではありませんし、このテーマに終わりはないと思っています。 相談窓口についても、件数が増えた・減ったという見方をする方もいらっしゃいますが、私は相談件数の減少が必ずしもハラスメント対策の浸透、とは考えていません。 ガイドラインの周知だけでは、効果に限界がありますので、繰り返し教育をしなくてはいけないと思っています。