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2017年1月から「事業主のマタハラ防止措置」が義務化されます

妊娠や出産、育児を理由に職場で不当な扱いや嫌がらせをする「マタニティーハラスメント(マタハラ)」について、厚生労働省は2016年8月2日、企業が雇用管理上講ずべき措置を盛り込んだ指針を公布しました。

男女雇用機会均等法において、セクシュアルハラスメント(セクハラ)については同様の制度がすでに明示されており、このたび新たにマタハラに関する防止措置が追加されました。

この指針は、マタハラ防止措置の適切かつ有効な実施を図るために定められたもので、2017年1月1日から、企業は指針に従いマタハラ防止措置を講じなければなりません。

今回マタハラ防止措置として施行される法律の改正は、(1)マタハラの防止、マタハラからの救済のための改正として、男女雇用機会均等法(均等法)第11条の2、(2)育児休業、介護休業など、子の養育または家族の介護に関する制度、または措置を利用しやすくするための改正として、育児介護休業法(育介法)25条の2つです。

指針の具体的な内容として、マタハラ防止のための望ましい企業の対応方法が次のように示されています。

  • 事業主のマタハラ、育児休業等に関するハラスメント対策の方針の明確化、周知・啓発
  • ハラスメントの内容や、起こりうる背景、妊娠・出産に関する制度を明確化し、周知・啓発すること
  • ハラスメント行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文面に規定し、周知・啓発すること
  • マタハラ、育児休業等に関するハラスメントの相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 相談窓口の設置
  • 発生するおそれがある場合や苦情等に関しても広く相談に応じること
  • マタハラ、育児休業等に関するハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応
  • 事実関係の迅速かつ正確な確認、被害者への配慮、行為者に対する措置、再発防止措置を講ずること
  • 相談者・行為者等のプライバシー保護に関する措置を講じ、周知すること

参考:雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために(厚生労働省)

また、今回公布された指針の中で注目したいのは、防止策として、マタハラや育児休業等に関するハラスメントとなる言動を直接規制するだけでなく、ハラスメントが起こりうる背景を解消する職場づくりが企業に求められている点です。

職場におけるマタハラ、育児休業等に関するハラスメントを「解消するための措置」として、周囲の従業員に過度なしわ寄せがいかないよう、業務分担の見直しや、業務の点検・効率化を責務としていること、また、妊娠している従業員や育児休業等の対象になる従業員に対し、利用できる制度の知識を持つことや、周囲との円滑なコミュニケーションを図りながら自身の体調や状況に応じて適切に働くことの周知をすすめています。

一般に、人員に余裕のない職場でマタハラは起こりやすいとされています。

出産・育児等を理由に働く時間が制約される人がいる場合、当事者だけでなく、サポートする周囲に対する理解を求めると同時に、業務における配慮や対策、制度づくりも企業は欠かすことはできません。指針には、互いに配慮しあえる環境や雰囲気づくりの重要性が示されていると言えます。

マタハラや育児休業等に関するハラスメントは増加傾向にあると言われており、企業は今回運用される指針を基にマタハラ防止対策をすすめていくことが求められます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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