ポイント

  • 厚労省は、パワハラ防止策を企業に義務付けるための関連法案を2019年の通常国会に提出する方針を発表。同省の分科会では法改正の骨子案が示された。
  • 骨子案によれば、法律に基づく指針でパワハラの定義を明確化し、企業に就業規則でパワハラへの対応指針や処分内容といった企業方針の明記や、相談体制の整備等の防止措置を義務付けるという。
  • 「パワハラの定義」は、「職場のパワーハラスメント防止対策に関する検討会」で示されたパワハラの概念がベースとなる。

検討会で示されたパワハラの概念

 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの(①)職場内の優位性を背景に、(②)業務の適正な範囲を超えて、(③)精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

2018年11月19日に、厚労省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、職場のパワハラ対策を巡る法改正の骨子案が示されました。パワハラに関しては、これまで

  • 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議(2012年3月実施)
  • 職場のパワーハラスメント防止対策に関する検討会(2017年5月~2018年3月で計10回開催)

などで議論が重ねられてきましたが、指導とパワハラの境界線がどこにあるのかを判断することが難しいことなどから、法制化には至っていませんでした。

 しかしながら、国の労働基準局が2017年に公表した『「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書』のなかで、「過去3年間にパワーハラスメントを受けた経験がある」と答えた人は、2012年の調査時には25.3%だったのに対し、2016年の調査時には32.5%に増えており、企業におけるパワハラ事案が後を絶たないことから、今回、国は法制化の動きを明確に示しました。

 一方で、一連の議論のなかで「業務の適正な範囲」、すなわちパワハラと指導との線引きの判断基準を決めることの難しさは常々指摘されてきました。このため、法制化の際には、法律とは別の「指針」のなかでパワハラの具体的な内容や「指導との違い」などを示すべきだと、骨子案では述べられています。

企業に求められる対応は?

 今回の法制化のニュースにおける一番のポイントは、これまで企業には求められていなかった「パワハラ防止のための対応策」が、企業に義務付けられるということです。関連法案ができれば、パワハラ行為の違法性や企業の防止措置義務が明確になり、違反企業に対して行政指導や是正勧告も可能になります。被害者による訴訟も促進されることが予想され、パワハラ発生により受ける企業の損失はこれまで以上に高まります。言い方を変えれば、パワハラ防止のための対策を打たない企業が抱えるリスクは非常に大きい、ということができます。

 パワハラは、発生時の適切な対応はもちろんのこと、そもそもパワハラを発生させないための「予防策」を講じることが重要です。厚労省は、有効な予防策として以下の5つをあげています。

  • トップのメッセージ
  • ルールを決める
  • 社内アンケートなどで実態を把握する
  • 教育をする社内での周知・啓蒙

(厚生労働省 あかるい職場応援団より)

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